フィリピン領 横須賀基地 

「日本の中のアメリカ」で働き始めたはずなのに、入ってみたらフィリピンでした

フィリピン系アメリカン二世の特徴(横須賀基地のUS Navyとその他一部)


彼らの特徴は、アメリカで生まれアメリカ人として育っているけれど、自分のルーツに誇りを持っているということです。そして同胞意識がすごく強い。強すぎ。

http://www.flickr.com/photos/42751184@N06/4861650827

photo by U.S. Embassy, Manila Philippines

二世の血の中に流れる「フィリピン」が濃すぎる

例えば横須賀基地のUS Navy(米海軍)所属のフィリピン系二世を見ていて気がついたのですが、彼らは「フィリピン人米軍兵士は大きく二つのタイプに分けられます - Inside the gate」という記事で書いたように、当然母国語は英語ですし、アメリカナイズされています。
だけど国籍はアメリカ人でも、ハートがフィリピン人なのです。アメリカ人になりきれないっていうんじゃなくて、フィリピン人って世界中どこにいてもリトル・フィリピンを作れるたくましさがあって、多分そのリトル・フィリピンが濃すぎるんですよ。

二世にとってホームはアメリカだし、フィリピンで暮らせといわれたら「無理です」というはずだけど、フィリピンというルーツには誇りを持っているのです。

排他的なのではなく、フィリピン系同士の絆が強すぎるだけ

「その名にちなんで」 という映画をご存知ですか?
インドから移民してきた親(一世)と、その子供達(二世)の物語なのですが、完全にアメリカ人として育っている二世達は、インドに里帰りしても白け、戸惑うだけ。
子供達の交友範囲も友達から恋人まで非インド系で、自分達のルーツに興味もなければむしろ恥ずかしいと感じていたり、疎んでいる部分もありました。そんな我が子達を見て親は寂しく思うのです。
親はインド人、子供は見た目はインド人だけど心はアメリカ人。わかりあえない二世代間。当然衝突があるわけで、子供達はインディアン・コミュニティには寄りつきもしません。
 

映画の原作も素晴らしいです。

The Namesake
ジュンパ・ラヒリの美しい英語で綴られる物語は、ジェネレーションギャップという言葉では表現し切れません。

US Navyとその他一部(後述)のフィリピン系二世はまさにこの逆で、二世達もフィリピン系同士で群れます。排他的にすら見えるのは、非フィリピン系をはじきだしたいのではなく、彼らの絆が強すぎるから。外から非フィリピン系が入っていく隙がない(そしてあまり入っていこうと思う人もいないと思います)。
こ れは私がベースで働いていた時に強く感じたことでもあります。例えば同じアジア系の移民でも、韓国系、中国系、ベトナム系は違う人種である黒人や白人、ヒ スパニック系と一緒に行動しますが(韓国系・中国系は米海軍の中で数そのものが少ないということもあります)、フィリピン系二世は同胞達だけでつるみま す。フィリピン系は皆小粒だから余計同胞感が漂って目立つのでしょう。

横須賀基地でも問題しされつつあるフィリピン系の勢力拡大

よくゴキブリは一匹見つけたら百匹潜んでいると思えと言いますが、これはフィリピン系の兵士の繁殖力に通ずる部分があり、一人が権力を持つと、そこから少しずつ広がっていってあっという間に百人のフィリピン系の兵士を引き上げることが可能ではないかと思うほどの勢いがあります。たくましくてしたたか。

ただしオフィサー以上のランクになると、まだまだフィリピン系は少ないことも事実です。例えばフィリピン系の勢力が強い横須賀基地に限ってはKhaki Ball「カーキ・ボール」というパーティー(招待客のランクはチーフ以上、あるいはマスターチーフ以上かは不明)だとフィリピン系がごろごろいます。

http://www.flickr.com/photos/59392555@N00/6194253964

photo by The_Parasite(この画像ではフィリピン系がいませんが、横須賀基地ではたくさんいます)

要するにチーフ級までならフィリピン系もかなりいるし、彼らが同胞を贔屓することもできるわけです。だけどNavy Day Ballという舞踏会のVIP席およびランクが高い人達のための予約席を見ると、フィリピン系は皆無です。
ですからフィリピン系の勢力拡大が目に余るとはいえ、あくまでも米海軍ですから、トップまでMWR系の施設みたいに「70%以上がフィリピン人」なんてことにはならないでしょう。極東の横須賀基地とはいえ、司令官がそうはさせないと思います。

関連記事:MWR系に応募しようとする人達へ もはやそこは米軍基地ではなく、フィリピンです - Inside the gate

 

二世の女性には「マガンダ」という褒め言葉が似合わない

http://www.flickr.com/photos/23239283@N00/2219543636

photo by eye foreign eye

 フィリピンというルーツに誇りを持つ二世ではありますが、二世の女性達を見ているとどんなに美人でも「マガンダ」(maganda。タガログ語で美人という褒め言葉。ganda=ガンダとよく略されます)という褒め言葉が似合わないのです。
もしも私が彼女達にマガンダといっても、褒め言葉として受け取ってもらえるかどうかもわかりません。といいますのも、英語で育った彼女達がタガログ語をどのくらい話せるのかはわかりませんが、彼女達は英語で考え、英語で感じているため、英語で褒めた方が刺さるはずなのです。
むしろマガンダと言ってしまうと、永住権目当てで愛のない結婚をするために必死でアメリカ人男性を落とした母親世代の、あのフィリピーナ特有のねっとりとしたちょっと古臭い女っぽさも含んでしまいます。ですから女を武器にがつがつする必要のない二世の女性達には、美人でもマガンダという言葉の響きが似合わないのです。

この記事のタイトルにある「その他一部」ってどこ?

ちなみにこの「マガンダが似合わない」と私が考える二世の女性達が暮らしているところ=この記事のタイトルにある「その他一部」 は、ニュージャージー州です。あそこはフィリピン系のコミュニティのみならず大きなヒスパニック系のコミュニティもあるし、韓国系移民が慰安婦像も建てていますし、移民の多い州なんだなぁと思いました。


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