<この記事は「インターナショナルな大奥」の続きです>
私はベース(在日米軍基地)で英語を使いながら仕事をしたいのであって、決してマニラで働きたいわけじゃないんですけどねーってほど、近年ベースではフィリピン人従業員が急激に増殖中です。
しかもフィリピン人従業員の多くはがつがつしているし、したたかだから(もちろん例外も少数ではありますが存在します)、一緒に働くのは大変です。だけど日系企業の女子トーク地獄に比べるとずっとましだと思えるというか、どっちかといえばこっちがホームだよな、と感じることができるのです。
「昨日彼氏とコンビニに行ってアイス見てたら、彼がSACREをしゃくれって発音しちゃってさー。笑ったら失礼だから我慢したけど・・・・」
こんな風に「だから何?」っていうオチのない会話にひたすら顔の筋肉を引きつらせてつきあう必要がない分、腐っていても濁っていても、ベースが自分にとってはホームだった、と今になってみて言い切れます。
フィリピン人、アメリカ人、日本人、そして少数のラテンアメリカンとヨーロピアンが共に働く環境は、とてもインターナショナルで楽しいのですが、フィリピン人のおばちゃん達が幅をきかせているというのが厄介な職場でした。
おばさんはどこの国でも面倒な生き物
フィリピンのおばさんのたくましさ、あつかましさは日本のおばさんの比ではありません。
なぜならフィリピンの女性社会では年長者が絶対なんですよ。年上を敬わなければならない。儒教の国・韓国の人々もびっくりっていうくらいです。フィリピン人の男性は女性ほど年功序列が厳しくもなさそうですけどね。
例えばフィリピン人女性達は、自分よりも年上の女性を呼ぶ時、必ずAte(アテと発音。ほとんどの場合Te 「テ」と略される)XXXXと呼びます。携帯電話に番号を登録する時すら、例えばアドリアーナさんという年上のフィリピン人女性を登録する場合、Te Adrianaで登録するくらいなのです。
これは相手が年配の女性を相手にした場合に限った話ではなく、例えば21歳の女の子が一切年上の22歳の女の子に対して呼びかける時も必ずテ・●●と呼ぶのです。
日本人に対してもフィリピン人社会の年功序列を適用させたいおばさん達。だけど日本人をいびるには限界がある
フィリピン人の若い女の子がおばちゃんにねちねちやられてストレスが溜まって、私に愚痴るとするじゃないですか(日本語あるいは英語で)。
すると「アテにこんなこと言われて・・・・。それでアテがこうして・・・・」とどのおばちゃんにもアテという代名詞を使うので、私は文脈からどのアテのことを言っているのか想像しながら話を聞かなくてはいけないのです。
ということは、フィリピン人のおばちゃん達をこれでもかって程持ち上げておけば、比較的インターナショナルな大奥は生きやすいのです。あとは若いフィリピーナ達のフォローですね。
フィリピン人達のおばちゃんは、どちらかといえばやはり同じ国籍の年下女性に対して高圧的に出ます。日本人に対してえらそうにしようと思っても、言語の壁がありますからね。
だけど母国語が同じ若いフィリピーナ達相手なら皮肉も嫌味も言いたい放題。だから若いフィリピーナ達が抱えているストレスは私達日本人女性が想像しきれないものがありました。
そういうわけで、若いフィリピーナ達がほっと一息つけるのは、年功序列がフィリピン人女性社会ほど厳しくない、私達日本人と話している時なのです。フィリピン人のおばちゃん達を持ち上げながら、若いフィリピン人達の愚痴を聞いてあげる。
これだけでだいぶインターナショナルな大奥では生きやすくなるのです。
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